日本では電磁波過敏症という病名は存在しない
日本の健康保険適応の病名の中に化学物質過敏症という病名はありますが、電磁波過敏症という病名は存在しません。したがって電磁波過敏症では健康保険が適応になりません。
電磁波過敏症を発病するとどんな症状が出るのでしょうか。
各診療科ごとに症状を列挙してみました。
いかがでしょうか。これらの症状すべてが揃って電磁波過敏症というわけではなく、症状のいくつかが現れます。また遷移と言って、ある1つの症状が治っても別の症状に移っていくこともあります。さらに化学物質過敏症にかかると電磁波過敏症、電磁波過敏症にかかると化学物質過敏症を併発するケースが多いので、初期の段階で予防することが大切です。
これらの症状は他の病気でも起こるため、多くは他の病気に誤診されています。多くの科にまたがるため、患者さんは複数の診療科に通い、それぞれの専門科の病名で診断されています。5DORTによると、小学生以上の子供を含む日本人の16%が電磁波過敏症になっているようです。産婦人科でPMS(月経前症候群)と診断されている患者の32%、更年期障害の36%、不眠症の70%、うつ病の76%、パニック障害の52%、認知症の7%が誤診されていて、これらの患者さんが治るには電磁波対策が必要です。徹底して電磁波対策(国民が被曝しないように電線は地下30mに埋めるなど)を行っているスウェーデンでさえ、人口の約2~3%が電磁波過敏症と推計されています。
それでは電磁波過敏症はどうやって診断するのでしょうか。それは電磁波が遮断された特別な部屋を作り、患者さんに判らないように電磁波を放射して言い当ててもらいます。このような施設は日本では公的には病名すら存在しませんので、北里研究所の附属病院の1ヶ所にしかありません。当院では事前に問診票に記入いていただいていますので、その内容と記入してある主訴から電磁波過敏症を疑った場合は、一人の患者さんに30分から1時間位かけて問診と検電計やガウスメーターも使って対処法の説明をします。
電磁波過敏症は報道規制か・マスコミの忖度か
日本では電磁波過敏症についてマスコミが報道することがありません。おそらくこれも報道規制の対象になっているのでしょう。諸外国では電磁波過敏症は常識化していて、隣の中国でも専門の治療施設が作られています。WHOでも電磁波過敏症ということで呼び方を統一する決定をしています。
WHOの事務局長であったノルウェーの元女性首相が電磁波過敏症であることは世界的に有名で、カナダでは電磁波過敏症を知る月間を設けて、啓発運動をしてきています。アメリカでは電磁波過敏症の患者はハンディキャッパー法の対象者となっています。スウェーデンでも電磁波過敏症の人は障害者と認め公費負担で生活支援(電磁波低減対策等)を行います。日本では自費で電磁波から逃れるために全国を探し回り、電磁波から追われるように引っ越しし続けている人もいます。このような事実があってもマスコミは取り上げません。
電磁波の被曝総量は人により様々で、花粉症と同じように総量がその人の限界量に達したときに突然発症してきます。その人固有の総量をオーバーするようになると、少しの電磁波をあびて被曝量が増えるとすぐに症状が出るようになります。電磁波過敏症も花粉症のように悪化させないためには防ぐしかありません。花粉症の人がマスクやメガネで防ぐように、事前の対策を取る必要があります。
女性に多い電磁波過敏症
先日当院を受診した患者さんの例です。
初診時の問診票で、64項目のうち当てはまる項目にチェックしてもらっています。この患者さんは①体が火照りやすい、②疲れやすく持続力がない、③舌にできものができやすい、④便がコロコロしていて硬い、⑤便秘がちである、⑥肩がこりやすい、⑦不安になりやすい、⑧気を使うと体調が狂いやすい、⑨体が痒くなることがある。にチェックがあり、これはすべて電磁波過敏症の症状です。今回診てもらいたい内容に、便秘・イライラ・不安感と書いてありました。33歳の女性でしたので、電磁波過敏症を疑いました。話を聞くと子供がこの春小学校に上がって、友達ができるのか不安だとか、最近疲れやすくなって車で隣町から会社に毎日通勤するのが大変で会社を辞めようとも思っているとか、最近はついつい子供に癇癪を起こしてしまう。など様々話し出しました。
電磁波過敏症を疑っていましたので、台所に行くと体がフワッとしたり、空気がモワッとするのを感じたり、具合が悪くなったりしないかを聞くと、その通りとのことでした。この症状が出ていれば電磁波過敏症の可能性は極めて高いので、2階に布団を敷いて寝てはいけないことを話しました。するとまさに4ヶ月くらい前に2階に布団を敷いて寝るようになってから、イライラして癇癪を起こすようになったとのことでした。そういえば子供もよく癇癪を起こすようになって、以前はそんな子ではなかったのにと話していました。また動悸がすることはないか?と聞いてみると動悸もするとのことでした。
電磁波過敏症は女性に多い病気です。この女性のように、会社では何年間も事務員の仕事をしていてパソコンの前にいることが多く、家に帰ると主婦業の仕事をしていて、男性よりも圧倒的に電磁波被曝の機会が多いからです。
電磁波の発生源は家庭用電源の極低周波で、電化製品、電源コードです。またこの電磁波は家具でも何でも伝搬していきますので、やっかいです。台所には冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、コーヒーメーカー、パン焼き器、ミキサー、トースターなど電化製品が多く、これらはスイッチが入っていなくても電磁波を出しています。さらに最近はIHの調理器具も使われていて、このIH調理器具がカウンター埋込式であれば電磁波は伝搬しますので、カウンター全体が電磁波を出しています。
電線があればそのコードは電磁波を出していて伝搬していきますので、延長コードや電化製品のコードも電磁波を出しています。1階の電灯用の電源コードは2階の梁に取り付けてありますので、2階の床は電磁波だらけということになります。
次回以降は、視野を広げ考えてほしいこと そして対策はどのようにすれば良いかをお話します。 《中編に続く》