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若い世代の癌患者の75%は女性 -後編ー

女性ホルモンが低下した更年期以降も乳がん罹患率が高いわけ

このグラフでは若い女性より閉経後の女性の方が乳がんの罹患率が非常に高くなっていることが分かると思います。今まで乳がんの原因は女性ホルモンであるといいましたが、それでは女性ホルモンが急激に減ってしまった更年期の女性に乳がん罹患率が非常に高いのはなぜでしょうか。乳がんの原因が女性ホルモンに原因があるとわかっているにも関わらず、閉経期の女性に乳がんが増える理由が長い間不明でした。

その理由は生体の恒常性にあります。高校1年の生物で習ったので思い出していただきたのですが、様々の変化に対応して体の中の状態を一定に保つ働きがあります。血液の性状や体温を一定に保つ働きなどです。閉経して女性ホルモンが急激に減少すると、それまでの女性ホルモンが大量にあった時の状態をなるべく維持して激変を防ごうとします。すると何と乳房の組織ではそれまで副腎皮質から分泌されていた弱い活性の男性ホルモンを女性ホルモンに作り替える機能が発動してくるということが分かってきました。

体中では常にがん細胞ができていますが、免疫細胞で消滅させています。同じく乳がんも常にできてはいても免疫で消滅させていました。しかし閉経期では、乳がんのすぐそばの組織で男性ホルモンから女性ホルモンを作っていて、何と血中の10倍から100倍以上もありました。閉経期では乳がんの餌が大量につくられていたわけです。

閉経期以降は次第に女性ホルモンの少ない状態に体が順応してきますので、日本女性では乳がんの罹患率は低下していきます。しかし肉を主食とするアメリカ女性では減ることなく増え続けます。私もそうですが年を取るとあまり肉を食べられなくなります。また美味しいとも思わなくなりました。私たちの世代は子供のころ、肉は鯨でした。いまの若い女性がアメリカ女性のように年をとっても輸入肉を食べ続ければ次のグラフ(文春オンライン)のように乳がんの罹患率は上昇し続けるかもしれません。

話を最近の若い女性の乳がんに戻しますと、輸入の牛肉と豚肉が外因性女性ホルモンをベースとして、さらに化粧品と女性ホルモン(エストロゲン)様作用をするとされるサプリメント(アンチエイジング、更年期、美肌など)、PMSで処方されるLEP薬や低用量ピルなどが、乳がん増加の原因となっています。プラセンタが化粧品にも使われていますが、プラセンタには女性ホルモンは入ってはいませんが、女性ホルモン様活性を示す未知の物質があるようです。

 

つづく  次回は乳がん発生のその他の原因です。

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