PCR検査の感度
PCR検査の感度は60%から70%と低いものです。感度の高い検査法は、病気になった時に非常に高い精度で病気であると確定診断ができます。感度が低い場合には、病気にも拘らず病気でないと診断されてしまいます。感度が60%から70%では、新型コロナウイルス感染者100人のうち30人から40人は感染者でない(偽陰性)と判断されてしまいます。
そうするとこの人たちは感染者(鼻咽頭にSARS-Cov2ウイルスが存在する場合)であるにも関わらず、感染していないと思い込み、今までの自粛的生活を止めてしまい、安心して出歩くようになるため、感染を拡大してしまう可能性が高くなります。
PCR検査の特異度
PCR検査の特異度は99%以上とこちらは非常に高くなっています。特異度とは、病気でない人を確実に病気でないと診断できる能力をいいます。すなわち100人病気でない人を検査すれば、間違って1人を病気と診断してしまいます。
日本は集団免疫には程遠い
厚生労働省は2020年12月14~25日にかけて5都府県で一般住民計1万5043人を対象に抗体検査を行っています。それによると東京でも陽性率0.91%、宮城県では0.14%しかありませんでした。大阪府で0.58%、愛知県で0.54%、福岡県で0.19%でした。
集団免疫には少なくとも60%以上が必要といわれていますので、まだまだの状況です。
広島市で80万人PCR検査
広島県では広島市中心部の4区の全住民や就業者を対象に、最大80万人規模の大規模PCR検査を行うと発表しています。
この80万人にPCR検査の感度と特異度を当てはめてみましょう。感度65%、特異度99%、感染率0.15%(感染者1200人)として試算してみます。感度が65%ですので、感染者1200人の35%にあたる420人が誤って感染していないと判断されますので、これらの人が市中に感染を広げてしまいます。さらに特異度が99%ですので、80万人のうち感染していない79万8800人の1%に当たる7,988人が感染していないにも関わらず、2週間の自宅待機を命じられてしまいます。
PCR検査を大規模に行えば広島市の4区だけで、感染していない7,988人が2週間の自宅待機をせざるを得なくなり、実際に感染している420人が動き回って感染を拡大することになります。このような事態が想定されるためか、広島県では実施を中止したようです。PCR検査をもっと行うべきだという声が多くありますが、大規模に行うべきではありません。