2月14日 第35回日本環境感染学会でのWHO健康危機管理プログラムシニアアドバイザー進藤奈邦子氏の講演より
以下、進藤氏講演からの要約です。
新型コロナウイルスの潜伏期間は約5日で、季節性インフルエンザの3~4日よりも長く、最初の患者が発生してから次の患者が発生するまでの期間は7.5日。
感染し発症した患者の致死率は約1%位で、0.25~4%の間である。
遺伝子シークエンスのデータでは、コウモリのβコロナウイルスだと分かっているが、最初の人は3~4人から始まっていて、この3~4人に感染させた中間の宿主がまだ分かっていないとのこと。そのあとはすべて「ヒトーヒト感染」で爆発的に広がっている。
「ヒトーヒト感染」では世界中から報告が上がってきており、最近の韓国からの報告では中国人の友人とランチを1時間ほど一緒にした人が感染して、その人が教会で賛美歌を歌っていた時に2列前の人にうつしている。
普通の風邪様症状で重症にならない人は、感染後排菌を始めていてそのピークは3~4日後らしい。喉からウイルスが検出されなかった人で便を調べたらウイルスが検出されている。糞口感染がどれだけ感染拡大に関与しているか見ていかなければならない。SARSの時は糞口感染があった。
2月7日のJAMAオンラインの論文でCOVID-19の患者138人のうち41%が院内感染だったという報告があり、患者や医療従事者を守ることができているか再点検してほしい。
このウイルスは上気道のみならず下気道(声帯よりも奥で気管、気管支、肺)に親和性が高く、直ぐに下気道に落ちていく。臨床的に肺炎がなくてもCT検査をしてみると両肺に影が出ている。
以上が講演内容です。
前回の記事内容の訂正 ダイヤモンド・プリンセス号では感染者の隔離は行われていませんでした。
前回のブログにはダイヤモンド・プリンセス号では乗客は個室から出ることは禁止されているので、換気ダクトからのウイルスを含んだエアロゾル吸引によるものではないかとしましたが、間違いでした。感染症の専門家である神戸大学の岩田健太郎教授によると感染者は比較的自由に船内を歩き回れる状態だったそうです。岩田教授は僅か数時間で下船させられてしまったそうですが、この共同通信の写真を見ると岩田教授が言っているように他の部屋の乗客と自室のベランダ上で隣の部屋の客とすぐ近くに居ます。2m以上離れる必要があるにもかかわらず、このような近くではエアロゾル感染が簡単に発生してしまいます。政府はダイヤモンド・プリンセス号で非常に良い見本を見せてくれています。たった一人の感染者が2月4日には0人だった感染者を20日の621人と激的な「ヒトーヒト感染」を起こさせています。感染率は16.8%にもなります。これは無症候性キャリアという感染はしていても症状はなく排菌している人の2m以内に近づいていたからです。政府が一人の感染者が出た段階で乗客全員にPCR検査をして結果が出るまでの2日間個室から出ることを禁止し、感染者を下船させていればこうはなりませんでした。
菅義偉官房長官は19日午前の会見で、岩田教授の告発動画について聞かれ、「2月5日以降、乗員についてもマスクの着用、手洗い、アルコール消毒などの感染防御策を徹底するとともに、乗員の感染が確認された場合、同室の乗員も自室待機にするなど、感染拡大防止策を徹底して取り組んできている」と述べています。マスクの着用、手洗い、アルコール消毒などの徹底した感染防御策(と思い込んでいる)は無効であるという証明になっています。感染者の自室待機も無駄であって、症状のない無症候性キャリアからの感染を防ぐことが最も重要であることの反証でもあります。
新型コロナウイルス感染症の最も確実で簡単な終息方法について中国に学ぶべきです。
続く