, 膵臓がん

膵臓がんの原因に胃薬?

膵臓癌のデスバレー(死の谷)

日本人の膵臓癌による死者数は増加の一途をたどっています。次のグラフのように膵臓癌はほぼ一直線に増加しています。しかも他の癌のように医学が進歩しても死亡率は下がりません。

胃癌の罹患率は増加してしますが、死亡率は減少傾向にあり、胃癌患者の30数%の死亡となっています。

肝臓癌では罹患率、死亡率ともに減少傾向にあります。しかし膵臓癌患者の90%以上は死亡していて、この40年間変わっていません。膵臓癌の診断を受けると、ほぼ死を覚悟する必要があります。

昭和天皇もアップル創業社長のスティーブ・ジョブズも膵臓癌で亡くなっています。現代医学でも治療困難な膵臓癌にならないように、予防が最も重要なことを意味しています。

東京女子医科大学統合医科学研究所の古川徹氏は、日本膵臓学会誌で「この30年での膵臓癌の研究の進歩には目を見張るものがあり,膵上皮内腫瘍性病変を基盤とする膵臓癌発生経路の解析, KRAS,CDKN2A,TP53,SMAD4 に代表される膵臓癌関連分子異常の解析,遺伝子改変マウスモデルの開発,癌浸潤転移機構の解析,癌免疫機構 の解析,癌幹細胞の解析等,種々の方面で成果があげられている。もちろん,臨床的にも画像診断法の発達,内視鏡エコー下細胞診等の新規診断法の開発,手術管理の進歩等,診療技術の進歩も著 しい。しかし,膵臓癌患者は増え続け死亡率は変化していない。」と述べています。この医学の進歩と臨床との間のギャップは、デスバレーと呼ばれ、この死の谷はますます広がっていく傾向にあります。

膵臓癌は慢性膵炎から始まる

臨床的には、慢性膵炎から膵臓癌の発生頻度は5%と高いものではありません。糖尿病が25.9%と最も発症頻度が高くなっています。しかし前回のブログで説明したように、慢性膵炎と診断されるのは実際の膵炎患者の一部にすぎません。さらに糖尿病の原因が膵炎である場合もあります。

疫学上、日本人の膵臓癌の危険因子の一つは肉食(動物性脂肪)にあることが分かっています。肉の消化は胃から分泌されるペプシンと膵臓から分泌されるトリプシンの2段階で消化分解が行われます。日本人は遺伝子的に肉を多食するようにできていないため、肉の多食は膵臓の消化酵素分泌に負担がかかります。さらに日本人の胃酸の分泌能は欧米人の3分の1で、加齢とともに分泌能も低下していきます。その点、肉食を常食とする欧米人は高齢となっても胃酸分泌能は低下しません。

この図を見ると日本人の肉の消費量は1990年頃まで増加して、その後は微増となっています。膵臓癌の罹患者数はその後も増え続けています。1990年以降の膵臓癌罹患者数の増加は、胃酸分泌低下による慢性的膵炎が原因となっています。ガスターなどのH2ブロッカーと呼ばれる胃酸を抑える胃薬の販売が1980年代から始まり、さらに強力に胃酸の分泌量を抑える胃薬のPPIは2000年頃から普及します。日本人の食肉の消費量が1990年以降あまり増えていないにもかかわらず、膵臓がんの罹患者が増加している原因は胃薬の制酸剤にあります。この点についてはまだ裏付けるデータが出てきてはいません。

まとめると 胃酸の低下→細菌が殺菌されずに十二指腸へ→細菌が十二指腸から膵臓の膵管へ→膵管の慢性的炎症→膵管の癌化 となります。膵臓がん予防のため二、肉を食べる回数は1960年代のように月2回(2019年1月10日のブログ)にしましょう。コロナの時代、免疫強化のためにも魚介類を多食(2020年10月19日のブログ)しましょう。

さらに胃薬は胃癌の原因となっていることが分かっています。

 

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